店販比率40%の美容室・売れる秘訣は”提案しないこと”

弊誌2020年4月号(3月1日発売)第2特集では「店販比率30%越えサロンの品ぞろえ」と題して、5サロンの取り扱う商品カテゴリや提案方法をご紹介します。「働き方改革」が叫ばれる中、生産性向上は避けて通れない課題。美容室では店販売上を伸ばすことに課題クリアのヒントが隠れていると考えています。

今回は誌面に先立ち、5サロンのうちの1店『Dolis hair + make』(群馬県高崎市)の取り組みをお届け。弊誌2019年11月号「生涯現場主義」にもご登場頂いたオーナーのhisaさんとhanaさんは店販にも力を入れ、店販比率は40%。どのような取り組みでこの高比率を実現しているのかお話を伺いました。

hisa(右)/hana(左)
群馬県の美容学校で同期だった2人は卒業後、県内の同じサロンに就職。
1998年に独立し、高崎市内にサロンを開業。コンセプトの変化や移転を経て2001年7月同市内で『Dolis hair + make』としてスタート。

体験に勝る提案なし?

Q.店販比率を伸ばすにあたり、お客様にどのような提案をされていらっしゃいますか?

hisaさん:当店は店販に力を入れていますが、あくまでもコンセプトである「安心・安全」を売ることを第一にしているため、具体的な商品をお勧めする切り口でアプローチすることはありません。

毛髪診断、肌チェックをするhisaさんとhanaさん
弊誌19年11月号・連載「生涯現場主義」より。

hanaさん:基本的にお客様の髪・頭皮そして肌のお悩みを毎回の来店で共有していくことから始まります。例えばhisaさんの場合は毎回の施術でお客様の毛髪診断を行い、今どのような状態なのか客観的なデータをもとにお話します。すると、美容師だからこそお伝えできる適切なケア方法をお伝えでき、お客様にとってはそれだけで来店の付加価値になります。私(hanaさん)の場合は、肌のお悩みを聞いたうえで適切なケアをレクチャー。併せてお客様にマッチした商品を手の甲などに付けて体感して貰っています。

夫婦2人経営だからこそできるチームワーク

Q.診断や体験といったお試しが適切な商品への購買に繋がっているということですね。
御サロンの場合「ヘアケア領域に特に詳しいhisaさんのお客様がヘアケア商品、スキンケアメニューにも注力されているhanaさんのお客様がスキンケア商品を購入」という風に提案商品の役割分担ができているのでしょうか。

hisaさん:いえ。施術担当者に関係なく対応しています。例えば、私のお客様で肌の悩みを抱えているお客様がいらっしゃった際には「この後hanaさんが時間空くので、ちょっと相談してみませんか」とヒアリングの機会を設けています。もちろんこの逆のケースも多くあります。

そこで、先ほどお話したような体験をして頂きます。気軽に相談できる機会づくりが大切だと考えています。

実際の体験の様子

hanaさん:正しい使い方を知って頂かないと、せっかく1度商品を購入して頂いたとしてもリピート購入には繋がりませんよね。

施術担当者に関係なくお客様に対応できることは「小規模経営だからこそできるチームワーク」と語るお二人。このチームワークについて更にお話を伺うと、興味深い店販のメソッドが見えてきました。

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