店販比率40%の美容室・売れる秘訣は”提案しないこと”

商品の見せ方よりも大切な「人の位置」

Q.お客様との距離が近いサロンであっても、施術を担当していない方のお悩みにすぐ対応するのは難しいことではないでしょうか。

hisaさん:実はこのサロンの空間にも秘密があります。

セット面横の鏡(写真奥)を通してお互いのお客様の顔が見えるようにしています。この位置関係によって互いのお客様がどんな方で何をお話しているのか、どんな商品の体験が適切か等の概要を把握できます。これにはお客様側にとってもメリットがあり、hanaさんのお客様も鏡を通して私(hisaさん)の顔が見える。あらかじめ「顔見知り」になれるので相談しやすくなります。

hanaさん:お客様同士が鏡越しにお話するようになって、仲良くなるケースもあります。特に同年代の方同士だと共通の悩みで盛り上がることも。

サロンの空間もチームワークに活用し、スムーズな「体験」⇒「購入」に繋げているお二人。店販商品に力を入れる場合、商品の見せ方や置き方ばかりに意識が向きがちですが、スタッフの配置も含めた考え方が他店と差をつけるヒント。お客様同士の会話も店販にとっては大切で「同年代がどんな商品を使っているのか、また効果はどうだったのか」等、レビューを共有できることも購買動機を強めるきっかけにもなります。

「体験」で注意すべき点は?

「まずは診断・お試し」というスタンスが同サロンの店販向上では必要不可欠。最後にお客様へのヒアリングに関して気を付けていることを伺いました。

Q.気軽に相談しやすい環境づくりの中で、注意していることはありますか?

hanaさん:お客様に心理的負担がかからないよう配慮しています。髪や肌の悩みの中には、同性同士でないと相談しにくいことがありますよね。例えば、hisaさんが男性のお客様から頭皮の相談を受ける時などは「ちょっと私は(hanaさん)席を外しますね」という風に、二人だけでお話できるようにしています。

hisaさん:これはあくまでも当店での事例ですが、男性のお客様の方が髪・頭皮の悩みで深刻になりがちです。細かな配慮がお客様の「本音」を引き出し、最適な商品との出会いを生むのではないでしょうか。

商品のお勧めではなく、体験に力を入れて店販比率40%を達成している『Dolis hair + make』。同サロンは正しい知識をお客様に伝える一方で、堅苦しいレクチャーで終わらせないアミューズメント性の高いイベントも毎年企画しています。

そして気になるのはサロンの品ぞろえ。経営とサイエンス2020年4月号第2特集「店販比率30%越えサロンの品ぞろえ」では、各商品のアプローチ方法も含めてご紹介します。3月1日の発売をお見逃しなく!

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