新型コロナ対策 消毒に適したアルコール濃度とは?

辻野教授直伝・消毒に適したアルコール濃度

新型コロナウイルス感染拡大が深刻な事態に発展しています。『経営とサイエンスWEB』読者の皆様の周りで感染等がないことをお祈りしています。

今回は、新型コロナ対策に活用できる情報をお届けしたいと思います。

神戸大学・辻野義雄教授にアルコール消毒で大切な「適切な濃度」についてお話を伺いました。

お話を伺ったのは弊誌でもお馴染みの神戸大学教授・辻野義雄先生です。

「アルコール度数が高ければ良い」は間違い

お聞きしたのは、消毒についてです。手指の消毒にはアルコールが良いと言われていますが、意外に知られてないのは、消毒に適したアルコールの濃度です。辻野先生いわく、「消毒に適した濃度は40~80%」なのだとか。消毒に適しているなら、てっきり濃度は濃ければ濃いほど良いのかと思っていました。

「アルコールは濃度が濃すぎると、消毒効果が働かなくなる特性があります」(辻野先生)。

皆様、お客様に消毒用のスプレーを提供する場合は注意して下さい。

次亜塩素酸も一定の効果あり

このほか消毒関連では最近、次亜塩素酸による殺菌がクローズアップされています。辻野先生によれば、こちらも「一定の効果はある」とのことです。ちなみに、次亜塩素酸は水道水にも入っていますよね。ならば、水道水の流水でも殺菌効果はあるのでは? 特に日本の水道水の次亜塩素酸濃度は高めと言われてますし。この辺はどうなのでしょうか?

「残念ながら、水道水に含まれる次亜塩素酸の量では殺菌までの効果は期待できません。付着した菌の数を減らすことは間違いないのですが、殺菌レベルまで言われると難しいと思います」(辻野先生)

消毒のためには石鹸で手洗いを徹底することが重要ということですね。

他タイプのアイテムについては?

また、各社から発売されている次亜塩素酸やマイナスイオン、水素、オゾンなどを噴射させるポータブルな殺菌器。首からぶら下げたりする携帯用のアイテムについては効果があるのでしょうか。

「次亜塩素酸や水素など、個々の物質には殺菌力があると思いますが、首からそれを噴射させて殺菌できるかどうかは私には分かりません」(辻野先生)

【まとめ】アルコール消毒

手指の消毒は40~80%のアルコール希釈液で可能です。理由は、アルコールは揮発しやすいからだそうです。これにより皮膚への刺激も軽減されます。

保湿系クリームで肌への負担軽減も

ただし、アルコールは、揮発する際、皮膚の水分も一緒に連れていってしまうので、肌がカサカサしやすくなります。その場合は、アルコールで消毒後、保湿系のクリームを塗るのが得策。ちなみに衛生面を考えた場合、お客様にクリームを塗って差し上げるときはクリーム容器に直に指を入れないで、スパチュラなどで取り分ける配慮も必要ですね。

また、サロンのアルコールがなくなった場合は、エタノールや漂白剤などの家庭用殺菌剤で代用するのが望ましいですが、その場合は、なるべく揮発しやすいものをチョイスするのがベターだと思います。

以上、神⼾大学・辻野義雄教授に伺いました。皆様のサロン運営にお役立て頂けますと幸いです。大変な時期ですが、皆様と力を合わせて乗り越えていきましょう。

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