東京から栃木へ 技術一筋で顧客を増やす美容師の姿

「とことん説明」がリピートに繋がる”なぜ?”

ヘアスタイルを提案する際、業界誌に掲載されているプロセスも見せて解説。前ぺージのお話にもあった「どんなヘアスタイルが自分に似合うか分からない」というお客様の声に対して、「ここがかわいく見えるポイント」という風に、技術によってどのような印象づくりができるのかを細かく伝えることが大切と語ります。

Shinbiyo 2012年12月号の別冊付録「えりあし大辞典」

このようにしてヘアスタイルの理解を深めて貰うことで、次第にお客様側から「次はこんなヘアスタイルがいい」という要望を受けるように。

ヘアスタイルの計画づくり

Q.徹底した説明が「こんな風なヘアスタイルにしたい」というお客様側の要望を生み、信頼を獲得できたことがリピート率に直結しているということでしょうか。

松葉代表:実はそれだけでなく、工程も含めてヘアデザインを理解して貰うことで、お客様と要望のヘアスタイルを実現し維持していくための計画づくりができるようになります。

例えば「ショートからボブにスタイルチェンジしたい」というケースでは、レングスの関係で、一度では完成できないですよね。そのような時にお客様が工程を理解していると、「次回は1か月後、この部分をカットしてより近づけていきましょう」という美容師側の提案を十二分に納得して貰えます。完成まで一緒に計画を立てていけるので、当店では翌月、翌々月まで予約を取るお客様が多いです。

オーダーメイド感覚を高めることが、新しいお客様との出会いに

徹底した説明はヘアデザインに関係するもの全てに及びます。使用している道具についてもお客様に見て頂き、「お客様の生えグセを考慮して、このシザースを使います」と説明を添えることで、オーダーメイド感覚をより強く感じて貰うように努めている松葉代表。この接客スタイルが「あの美容室なら、自分に合わせて丁寧にカットして貰えるよ」という評判を呼び、集客サイトやSNSに頼ることなく紹介で顧客数を増やすことに成功しました。

小山は電車では乗り換えなしで都心へアクセス可能なベッドタウンとして新しい住宅地の計画も進む都市。『経営とサイエンス』2020年3月号の「生涯現場主義」では、松葉代表のお客様への向き合い方や新たな顧客獲得に向けて、メニューの質向上を追求する姿を誌上ドキュメント。2020年2月1日発売です。

取材後記

サロンの一番目立つところに飾られていたのは「しんびよう」特別付録「V・サスーンの奇跡」。松葉代表はお父様が所有していたこの1冊を読んで美容師になることを決心。技術を徹底的に解説するお客様との向き合い方にも通じているそうです。およそ50年前に刊行された弊社の本をご自身の”原点”として今も大切にされていることに心打たれました。

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