郊外の美容室・”顧客離れ知らず”な2つの理由

群馬県高崎市のサロン『Dolis hair + make』は生涯お客様と向き合うことを理念として、メニューの工夫やダメージレスな施術を追求し、顧客の支持を得ています。経営していく中で、コンセプトの変化と合わせて立地も見直してきた同サロンは、県内で4度移転を行っています。実はそこにもお客様に長く愛される秘訣が隠れていました。後半には、ニーズの変化に柔軟に対応するサロンの取り組みに迫ります。

群馬県高崎市の美容室『Dolis hair + make』

hisa(左)/hana(右)
群馬県の美容学校で同期だった2人は卒業後、県内の同じサロンに就職。
1998年に独立し、高崎市内にサロンを開業。コンセプトの変化や移転を経て2001年7月同市内で『Dolis hair + make』としてスタート。現在までに市内で4度移転している。

ひとつの場所に留まる方が実はリスク?

Q.まず、サロンのコンセプトの変遷についてお聞かせ下さい

hisaさん:98年、独立して初のサロンは10代-20代の女性向けに高崎駅近くに開店しました。当時はヘアカラーブーム真っただ中ということもあり、ビビッドなカラーで主張の強いスタイルの需要がありました。もともと私自身がカラー剤の研究に打ち込んでいたので、好きな分野を活かしていましたね。

hanaさん:駅前の店舗では常連客も獲得できましたが、リピート率向上のため20代よりも少し大人向けに転換したほうが良いと考えました。提供するスタイルと内装の変化に合わせて、30代以上の女性が多い百貨店の近くに移転しました。

美容師としてキャリアと年齢を積み重ねるうちに、自分たちのやりたいことが変わり、同時にお客様が美容室に求めるものも変わってきます。年齢層の変化に合わせてコンセプトを変容。同時に場所も移してきました。現在は家族客がリラックスして過ごせるような雰囲気を意識しています。

顧客の生活圏を意識した戦略

Q.コンセプトの変化が移転へとつながっているのですね。「お客様が離れるのでは」という不安はありませんでしたか?

hisaさん:お客様も、結婚や出産といったターニングポイントによって生活する地域が変化していきます。例えば10代-20代は駅近くの繁華街へ出かけていたのが、結婚を機に郊外や県外が生活の中心地になるように。お客様が通いやすい場所に合わせてサロンも一緒に動いてきました。

「お客様についていく」という発想の店舗移転で、通いづらさによる失客を防いできた『Dolis hair + make』。現在の店舗は高崎駅や市内3か所のインターチェンジと距離的にバランスの取れた郊外の土地に所在。メインの顧客層であるファミリーが県内外から通いやすいよう工夫しました。そこでもう1点気になることを伺いました。

Q.今後も、お客様に合わせてサロンのコンセプト/場所が変化する可能性もあるのでしょうか。

hanaさん:あります。現在具体的なプランはありませんが、例えば今家族でいらしているお客様のお子様が成長してメインの顧客層になった時など、その可能性は充分にあります。『Dolis hair + make』も柔軟に変化していきます。

顧客のライフステージに合わせて、生活圏の変化に対応してきた『Dolis hair + make』。その柔軟な「変わる力」は、メニューにも表れています。次ページは、”顧客離れ”知らずなもう一つの理由。お二人の取り組みと今後の目標についてお話を伺いました。

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