20代で下町に出店・小さな美容室に人が集まる理由

理想の空間がコミュニティに|どんどん広がる顧客の輪

サロンに設けたギャラリーがアート好きなお客様の評判を呼び、作家活動する方も来店するようになりました。次第にお客様は地元だけでなく、遠方からも訪れるように。お客様にとっては、美容以外にも作品鑑賞という来店動機ができるので、ギャラリースペースがファンづくりに役立っています。

取材当日も、お客様とアートの話に花を咲かせていた

Q.最近では、映画鑑賞会も開催されていますが、これはどんなきっかけで始まったのでしょうか。

A.偶然、当店で席が隣同士になったお客様が映画好きで、その場で意気投合したんですよ。それで、サロンの2階で映画会を開くことにしたんです。10名入れば一杯になるスペースで、お客様がセレクトした映画を観賞するようになりました。

Q.初対面のお客様同士が意気投合して、映画会まで開くようになるというのはすごいですね(笑)

A.ギャラリースペースのおかげで、以前からサロンで知り合った作家好きのお客様同士の「交流の場」になっていたのですが、映画まで幅が広がるとは思いませんでした。

Q.SNSで趣味の合う人や友達を見つける時代、美容室がオフラインで「人と人がつながり、交流する場」になっているのはユニークですね。映画会をスタートして何か変化はありましたか?

A.映画会に来場して、「初めて当店のことを知った」というお客様と知り合えたことですね。

顧客の輪が広がり、新規のお客様との出会いにつながっている『dolls』。サロン経営は順調ですが、今でも自分たちのペースで仕事を楽しむことを最優先にしています。予約は二人で1日合計10名から12名に調整。美容とギャラリー空間の両立があってこその『dolls』。忙しさでサロンらしさが崩れないようにすることが、お客様を飽きさせない秘訣だからです。


経営とサイエンス2019年8月号 (19年7月1日発売)

連載「生涯現場主義」ではお二人の仕事から見える「等身大の経営哲学」を追いかけました。

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